018 夏にはやっぱり発泡

Copyright:モーセルヴェ 伊藤 歩

7月のくせに妙に寒い天気が続いていますが、皆さんお元気でしょうか。
今回は赤ワインを紹介しようと思っていましたが、ちょうど美味しい発泡に出会ってしまい、夏らしくない夏に景気付けでロワールの発泡を。

今回は発泡酒とシャンパーニュの違いについてお話しましょう。
よく区別がつかないという方も多いのでは?
まず色はどちらも白とロゼがあり、色で判断は出来ません(色が違うんですよね? と言われてギョッとした経験あり)。
シャンパーニュとは、シャンパーニュ地方の決まったゾーン内で作られたぶどうで、シャンパーニュ製法を用いて作られた発泡酒で、大雑把にいうとシャンパーニュ以外で作られた発泡酒はシャンパーニュと呼べないのです。
シャンパーニュの場合はエチケットに(いわゆるラベルです)Champagneの文字があるので分かりやすいですが、他の地方のものですとCremand、Petillant、Mousseux等の文字がつくことが多いですね。

独特のミネラル分、上品さがシャンパーニュの魅力ですが、シャンパーニュのぶどうは値段がはるので、もちろん売り値も高め、最低でも20ユーロほどしてしまいます。
その点、発泡は10ユーロ程度が相場、気楽に試せるわけです。
しかーし、妙に酸っぱい、薄くて味がない、においが気に入らないと美味しい発泡を見つけるのは至難の業、私もがっかりしたことばかりで、発泡のイメージは悪かったのですが…。

今回ご紹介するCremand de Loire Cuvee Tirage 2004 Brut Blanc BAUMANDは、名前の通りロワールの発泡酒。
品種はシャルドネに土着のシュナンブランの混合。
色は透明感のある白金色、泡はシャルドネが主体らしい細かい泡が細ーく連なった後、ふわっと表面に散って、6月の花嫁さんのウェディングドレスの様な華やかさ。
香りは洋梨、りんごのコンポートにほんのりオレンジ、みかんの柑橘、アーモンドスライスをロースト、蜜、キルシュの香り。
口に含むと見た通りの細かーい泡が走り回り、みかんの酸と洋梨のふんわりした甘み、しかし後味はさっと甘みを払拭したようなミントの爽快感。
全体に辛口でキリッと後味まで軽く美しい出来。

ある日、どんよりした天気に死ぬほどやりたくない整頓の作業をしていて頭が破裂しそうになった頃に、社長が「発泡でも飲もうか」、「えー発泡? シャンパーニュじゃないの?」とグズグズいいながらサーブされた1杯で天国へ。
それ以来ちょっといいことがあった時、ちょっと嫌なことがあった時も、これです。
価格は12ユーロ。
駆けつけ1杯の最高のアペリティフ、フレッシュシェーブルの三角春巻き、生野菜をツナディップにつけて、いかのフリットにレモンを搾ってなんていうのも最高です。
ほら、発泡が飲みたくなってきたでしょう? ビールといわずにお試しあれ。