003 翌日に美味しいシャンパン

Copyright:モーセルヴェ 伊藤 歩

年末年始はシャンパン、ということで今回はシャンパーニュのお話です。

シャンパーニュ地方はパリから東150kmに位置する3万1千ヘクタールの生産地です。
シャンパンと発砲ワインの大きな違いとは? 結構知らない方も多いのでは?

シャンパンの定義とは、シャンパーニュ地方で生産されたぶどうでシャンパーニュ方式で作られた発砲ワインをChampagneとする。
ですから、ロワールで同じものを作ってもシャンパンにはなりませんし、発砲していても、シャンパーニュ方式でなければシャンパンにはなれません。
フランスにしかシャンパーニュは存在しないのです(とは言っても外国ワインの中にはこの決まりを無視してChampagneと明記しているものもある)。

使用品種は3つ。
黒ぶどう種であるピノ ノワール(Pinot Noir)、ピノ ムニエ(Pinot Meunier)、それに白ぶどう種のシャルドネ(Chardonnay)の3つです。

もしエチケットにBlanc de Blancsと記載されている場合は、シャルドネ100%。
このタイプのシャンパンは泡が細かくて酸味があり、シャッキリした印象のものが多いです。
したがってアペリティフ向き。

Blanc de Noirsと記載されていた場合はピノ ノワールとピノ ムニエのアッサンブラージュ(混合)かどちらか単一品種を使用。
このタイプは泡が割と荒く、香りも複雑、カカオやオレンジ ピールの香りが特徴的です。
旨味も濃いものが多いので、どちらかと言うと食中向き。

それ以外の大部分のシャンパンが3品種のアッサンブラージュになります。
シャンパンにはいろいろなタイプがあるため、まったく知らない方には1つの目安になるでしょう。
あとは飲んで飲んで自分の好みのメゾンを見つけていくことです。

【翌日に美味しいシャンパン】

さて私、アンチ シャンパン。
ブルブルする程の酸味と、白ワインの味わいのないものが多い気がして、どうも喜びがない。
でもあるのです!
そんなアンチ シャンパンのためのシャンパンが、Champagne Le Closerie Les Begulnes Extra Brut Jerome Prevost。

ほとんどのシャンパンのメゾンがぶどうを生産せずに購入するのに対し、彼はぶどうの栽培から醸造、出荷までを1人でこなします。
シャンパーニュでは珍しいピノ ムニエ100%、栽培の最中に化学肥料を一切使用せず、醸造中も極力添加なし(シャンパーニュでは亜硫酸と糖の添加が義務付けられています)、非常に自然な作りです。

色は、ほとんどオレンジ。
泡は荒めでクルミやオレンジの皮、干しぶどうの香りがまずは鼻を刺激。
そして口に含むと、グッとくる白ワインの味がする!
香りでかいだ印象プラスミネラル分、そっと落ち着いた酸、濃い旨味が舌をグイグイ押し返します。
そして後味はピュア。
もちろん酸化防止剤による翌日の頭痛もありません。

作り手であるプレヴォ氏は「出来るだけ前に抜栓してね」と言っていましたが、確かに抜栓してそのままおいて翌日に旨味と香りが爆発するのです。
泡が大事という人にはお勧めできませんが、試してみると面白いですよ。

このシャンパンと料理の組み合わせは、仔牛のカツか地鶏のロースト、グラタンも。
牛のチーズと相性がいいので古いコンテ、バルミジャーノをポリポリしながらもいいですね。