279 V字型の空

皆さまは、パリの空って、どんなだと思いますか?
エッフェル塔がすっくと立つ、広くて青い空?
それとも、遠くに凱旋門を望むシャンゼリゼ通りの華やかな空?

僕が思うパリの空は、いつも決まってV字型。
パリの街を歩いていて、「おっ! ここはきれいな通りだな~」と思って写真を撮ると、いつも決まって空がV字型に写るのです。
それは、通りの両側に背の高いアパートが建ち並び、近くにあるものは大きく、遠くにあるものは小さく見えるから。
そう、遠近法そのままに風景が写るからです。

また、個人的な好みもありますが、有名な大通りよりも、空がV字型に写るような、細くてちょっと薄暗い小径のほうが、僕は好きです。
子犬を連れたおばあさんがゆっくりゆっくり歩いていたり、子供達が大きな声で何かを叫びながら走っていったり、小雨の降る中を傘も差さずに肩をすぼめてパリジェンヌが歩いていたり…。
そこには、パリに住む人々の生活感が溢れています。

なお、パリに1度でもいらしたことがお有りの方は、お手元にある写真をご覧になってみてください。
きっと、そのうちの何枚かに、V字型に切り取られたパリの空が写っているはずです。

一方、これからパリにいらっしゃる方。
是非、路地裏のお散歩をお忘れなく。
有名な大通りもいいけれど、V字型の空の小径にも、どんどん入ってみてください。