040 小さな出会い

先日、パリの街中で写真を撮っていた時のこと。

僕がカメラを構えていると、前を通りかかった女の子が、カメラの前にひょっこりと立ちました。
そして、僕がファインダーから目を外すと、ニッコリ笑って、向こうに走って行きました。

きっと、彼女なりのおふざけだったのでしょう。
でも、その様子や笑顔がとっても可愛くて、何だか嬉しくなってしまいました。
そして、今になって思うと、元気に走り去って行く彼女の後ろ姿こそ、写真に撮るべきだったと思うのです。

また先日、注文していた絵本を取りに、近所の本屋さんへ行った時のこと。
自分の名前と絵本の名前を女性の店員さんに伝えたら…

「あら、その絵本、私も大好きなの!」

…とニッコリ笑っておっしゃいました。
それが本当なのかどうなのかは分かりませんが、その時の表情や言葉の抑揚がとっても面白く、何だか嬉しくなってしまいました。

パリの街中で出会うさまざまな人々。
出会いとは呼べないほどに小さなものですが、この、ほんの一瞬の心のふれあいが、私達に元気をくれます。

いくつもの出会いが生まれては消える街、パリ。
その魅力にますますはまっていきそうです。