014 セーヌ河岸のオルセー美術館

Copyright:坂田 正次

世界遺産に選ばれたパリのセーヌ河岸には、数多い印象派絵画を収蔵するオルセー美術館があります。
もともとは1804年に最高裁判所として建築されたのですが、1871年のパリコミューンのときに火災に遭い、以来、廃墟として放置されていました。

その後、1900年のパリ万博開催のとき、オルレアン鉄道のパリでの終着駅にする構想が浮かび上がり、1897年に、オルレアン鉄道会社が国から土地を買い取り、ホテルを備えた近代的な駅の建築が開始され、1900年07月14日にオルセー駅が誕生しました。

しかし、社会情勢の変化により、オルセー駅から遠距離列車が発着するには手狭になったことなどの理由から、1939年に使命を終え、再び沈黙を守る日々に戻ります。
1960年代に入りますと、オルセー駅を取り壊して近代的な大きなホテルを建設する案が動き始めます。

けれども、またここで流れが変わります。
オルセー駅は歴史的建造物として保存すべきだとの声が起こり、文化大臣が取り壊し反対の意見を出し、建設大臣が建築許可の交付を拒絶する事態にまでなりました。
1973年03月、オルセー駅は歴史的建造物の公式リストに登録され、1975年にフランス美術館監督局が美術館建築計画を発表し、公共企業体が創設されてました。
そして1986年12月、オルセー駅は美術館として再生したのです。

パリの美術館は3つに分かれ、18世紀以前の作品を所蔵するルーブル、現代美術のポンピドーセンター、そして19世紀から20世紀の範囲で、原則として1848年から1914年までの作品を所蔵するオルセー美術館です。

パリのセーヌを描いた作品には、ギヨマンの「雨もよう」、「ベルシー河岸」、セザンヌの「ベルシー河岸」、レピーヌ「パリ市庁舎河岸の林檎市」、ヨンキント「トゥーネル河岸から見たノートルダム大聖堂」、ゴーギャン「イエナ橋付近のセーヌ河」、モネの「ルーブル河岸」、ピサロの「ポンヌフ」「セーヌ河とルーブル美術館」などがあり、画家達の沢山の作品対象になっています。
また、印象派の作品で19世紀末から20初頭の生活や風俗を映したものもパリを中心に作製され、双方には深い関係があります。

印象派絵画をまとめて鑑賞できるのが、セーヌ河岸のオルセー美術館です。
美術鑑賞に疲れたら、テラスに出て、セーヌの流れやパリ市街の景色を眺め、展望喫茶室でお茶としゃれ込むのもよいでしょう。

セーヌ河岸に、旧印象派美術館(ジュ ド ポーム)にあった印象派絵画のすべてを納めたオルセー美術館ができたことは、セーヌ河に沿った場所で育ったという印象派の成立過程からみて、何かうれしいものがあります。

ルーブル河岸 モネ
ルーブル河岸 モネ