473 カシニョールのモデル

凪さんと同じ託児所に子供を通わせている友人のオードのお宅にお邪魔して、お茶をご馳走になっていた時のこと。

壁に貼ってあった1枚の写真が目に留まりました。
そこには、大きなつばのある帽子を被った彼女が写っていました。

「とても素敵な写真ね~」

…と私が言うと、彼女が別室から1冊の画集を持ってきました。

「カシニョールって知ってる? 日本でも人気のある画家なんだけど」

…と彼女。

画集のページをめくると、確かに、どこかで見たことのある作風でした。

ジャン ピエール カシニョール(Jean Pierre CASSIGNEUL)は、パリで生まれ、パリで育った画家。
優雅な女性の姿を描いた作品が多く、40年ほど前から日本でも個展を成功させるなど、フランス画壇の巨匠とも言われているそうです。

そして彼女は、カシニョールの絵のモデルを20代の頃から10年以上もやっていたのだとか!

カシニョールが、背が高くて痩せた女性のモデルを探していた時に声をかけられたことや、モデルをしている間は同じポーズでずーーーっと静止していなければならなかったことなど、いろいろと裏話(?)も教えてくれました。

なおその画集の中には、彼女の名前(オード)がタイトルに使われた作品もあったので、自宅に戻ってからインターネットで調べてみると、以下のような絵が見つかりました。

ところで彼女は、画家のモデルになるくらい美しい女性ですから、ご主人とのテレビ電話の中でも…

「僕の方から見る君はとてもきれいだよ」

…なんて言われるのも、もっともな話なのでした。

実はこの彼女、以前に記した「パリからの便り」の中の「470 きれいだよ」のお話でご紹介した女性なのです。

帽子をかぶったオード
あじさいとオード
パリからの便り 470 きれいだよ