448 春の野に寝転んで

先日、相方(水野)の誕生日に、1本のワインを開けました。
いまから34年前、1975年に造られた、フランス ブルゴーニュ地方のワインです。

この3月に34歳になった相方へのお誕生日のお祝いとして、知人のワイン商から譲ってもらった1本です(本当は、自分が飲んでみたかっただけ…との声も聞こえて来そうですが…)。

なお、最初の一口を飲んだ時の感想は「ん? ん? ん?…」というもの。
もちろん不味くはなかったのですが、「美味しいーっ!」と感激する程でもありませんでした。

しかし、せっかくの誕生日祝いですから「あまり美味しくないね…」とは言うこともできず、でも、お互いの顔を見れば期待していた程ではないことくらい、すぐに判ります。

ところが…、コルクの栓を開けて1時間、2時間と経つにつれ、グラスからはスミレの花のような香りが立ち昇って来て!
もちろん、その様子が目に見えるわけではありませんが、グラスの中から香りがモクモクと湧き上がってくるような感じだったのです!

そして、静かに目を閉じてグラスに口を近づけると、まるで春の野原に寝転がって、心地良いそよ風に吹かれているかのような、そんな感覚に身を包まれました…。

ああっ、本当に気持ちいい…。

30余年という長き眠りからゆっくりと目を覚まし、いままさに花開いた1本のワイン。

ワインて、本当に解らない。
そしてまた、本当に面白い。