438 ちょっと違うイブ

2008年も、残すところあと数日になりました…。
時の流れとは、本当に早いものですね。

さて、皆さまは、今年のクリスマス イブをいかがお過ごしでしたでしょうか。
私達家族は、自宅で静かに食事を楽しみました。

なお、前々回のコラムで、「フランスの家庭ではクリスマス イブに生牡蠣を食べる…」と記しましたので、我が家も生牡蠣をいただきました。

ただし、生牡蠣を食べるまでにちょっとしたハプニングがありましたので、今日はそのお話をしたいと思います。

イブの日の夕方、お部屋の掃除やテーブル セッティングを終え、また、食べ物や飲み物も揃えて、あとは近所の魚屋さんに生牡蠣を買いに行くだけになりました。

そして日の暮れた頃、魚屋さんへと出かけて、お店の前にたくさん並んだ生牡蠣の中から、好みのものを選んだ時のことです…。

「すみません、殻を剥いていただけますか?」

「いいや、今日は剥けないよ」

店員さん曰く、今日は忙しくて殻を剥いている時間はないとのこと…。

なお、以前、生牡蠣を買って自宅で殻剥きに挑戦したことがあったのですが、その時は上手く剥くことができず、お鍋で蒸して殻を開けた苦い思い出があります…。

しかし、今日はクリスマス イブ。
しかも、先日のコラムで日本の皆さまに生牡蠣をご紹介した手前、我が家が生牡蠣を食べないわけには参りません!(変な使命感?)

そこで、他の魚屋さんを廻ることに…。
しかし次の魚屋さんでも、今日は殻を剥いている時間はないと言われてしまいました。
それどころか、お店の奥に山と積まれた生牡蠣の入った木箱を指差して…

「ほら、見てくださいよ。今日は予約のお客さんの分だけで、こんなに殻を剥かなきゃならないんですよ」

…と、おっしゃいました。
またその脇には、黙々と殻を剥く2人の店員さんの姿が…。

その様子を見せられては、僕だけわがままを言うわけにもいかず、仕方なく、殻つきの生牡蠣を買って帰ることにしました。

しかしその代わりに、殻の剥き方を見せてくださいとお願いすると、お店の奥の、2人の店員さんの脇に通されて、殻剥きの手ほどきを受けることができました。

「いいかい、牡蠣は左手にこう持って、包丁の先を殻のここに差し込むんだ。
そして、包丁の先が入ったら、包丁は動かさずに左手の手首をこんなふうに(スナップを効かせるように)動かすんだよ」

殻の剥き方を教わった僕は急いで自宅に戻り、そして教えてもらった通りにやってみました。
すると、面白いように殻が剥けるのです!

また、殻を剥いているうちに楽しくなり、もっときれいに剥きたいと思うようになりました。

生牡蠣の殻を剥くという、いままでは出来なかったことが出来るようになったという嬉しさや、魚屋さんから直に手ほどきを受けたという経験から、いままでとはちょっと違った、楽しいクリスマス イブになったのでした。