399 いつか旅立つ日のために ジゴンダス編

私達2人がいままでに出かけたことのある場所の中から、いつの日か皆さまがフランスを旅される時に、是非訪ねていただきたい町や村、立ち寄っていただきたい場所やお店などをご紹介する「いつか旅立つ日のために」。
今回は、南フランスの小さな村ジゴンダス(Gigondas)をご紹介いたします。

ところで、日本は桜の季節を迎えたそうですね。
インターネットのニュースで、東京の桜が満開であることが報じられていました。

この季節になると、僕には無性に行きたくなる場所があります。
それが、今日ご紹介するジゴンダスの村です。

ジゴンダスは、南仏プロヴァンスの中心地アヴィニヨン(Avignon)の街から北東約30キロのところにあります。

これといって見るものもない小さな村ですが、ここはワインの産地として有名なところ。
フランス、コート デュ ローヌ地方(Cotes du Rhone)を代表する上質なワインを作っています。

それでは、何もないこの村に、何を求めて出かけるのか…。

その1つは、のどかな春の風景です。
山の斜面にへばり付くようにあるこの村の1番上の部分、小さな教会と昔のお城の跡がある辺りから眺める春の風景が、もう~本当に素晴らし(美しい…)いのです。

可愛らしい家々の周りは、淡いピンクや白の花盛り。
またその向こうには、彼方まで広がるぶどう畑。
そして、その風景全体が、春の霞の中にぼんやりと浮かんで見えます。
また、春の日差しはポカポカと暖かく、その中で鳥が鳴き、蝶が舞います。

もう、この風景を1度でも見たら、この村を好きにならずにはいられないでしょう。
そしてまた、世界のどこにいたとしても、春を迎えるたびに、この村のことを想い出すようになるでしょう。

さらに、この村を訪ねるもう1つの理由。
それは、この村の小さな広場の端にある、小さな小さなレストランです。

その名は、ルスタレ(L'Oustalet)。
ここは旅先で偶然に見つけたお店なのですが、もう、本当に気に入りました。大好きです。

落ち着いた店構えといい、店内の素朴な雰囲気といい、店員さん達の飾らない対応といい。
そして、決して派手ではないけれど、洗練されたお料理に、ジゴンダスの美味しい地酒…。

フランスに来て以来、いくつものレストランにお邪魔しましたが、「もう1度行ってみたいお店は?」と訊ねられたなら、僕は迷わず、このルスタレを挙げます。
有名なミシュラン ガイドの三ツ星とは、「それを味わう為に旅行する価値がある卓越した料理」という意味だそうですが、僕にとっては、このお店のお料理とワインが、まさにそれに値します。

本当にのどかな、そして、幸せな春の日を楽しむため旅…。
皆さまも、是非、お出かけになってみてはいかがでしょうか?
皆さまが、いつか旅立つ日のために…。