360 おもてなしの気持ち

リヨンを旅した際に泊まった小さな村の民宿で、とても心地良いおもてなしを受けました。

出発の数日前、リヨンの街から30キロほど離れたペルージュ(Perouges)という村に宿を取ることを決め、手元にあったガイドブックに載っていたホテルに電話をしてみました。
すると…

「1泊200ユーロ(約33,000円)のお部屋しか空いていません」

…とのお返事。

「はい、それで結構です」

…と言いそうになったけれど、ちょっと踏みとどまってみました。

そして、ベルージュの村のサイトを見てみると、村やその周辺に、いくつかの民宿があることが分かったのです。
その中に、部屋数3つ、2人で朝食付き62ユーロ(約10,000円)という宿を発見。

早速電話をしてみると、とても感じの良さそうな奥様が対応してくださいました。
そして…

「隣り町まで迎えに行くから、到着時間が分かったら電話をちょうだいね」

…とのこと。

なぜならば、小高い丘の上にあるペルージュの村には、電車もバスも通ってはいないからです。

なお、フランスでは、宿を予約する際に小切手で前金を支払ったり、保証金代わりにクレジットカードの番号を聞かれたりすることが多いのですが、この宿はそれもありませんでした。

そして、当日、リヨンから列車に揺られて向かった私達を、宿のご主人が隣り町まで迎えに来てくださいました。

ご主人はとても気さくな感じ。
たったいまお会いして、初めてお話すのに、何だか以前から知っているような感じです。

なお、今日のお客さんは私達だけとのこと…。
宿に着くと部屋を順番に見せてくださり、好きな部屋を使っても良いとのことでした。

そして部屋を決めると…

「夜は、村の広場にあるレストランにいるから、何かあったらいつでもおいで。お茶でもご馳走するからさ」

…とおっしゃってくださいました。

何かを計算していらっしゃるわけではないのでしょうが、私達との距離の置き方がとても快適。
小さな村の静かな民宿に泊まる私達に、寂しい思いもさせず、しかし、うっとおしい思いもさせず。

夜、お言葉に甘えて村の広場に面したレストランにお邪魔してみると、ペルージュの名物である素朴な焼き菓子と紅茶、そして美味しい地酒(発泡性のワイン)をご馳走してくださいました。

さらに、翌朝の朝食の時も、また、宿を発つ時にも、とても心地良い対応。

豪華なホテルのような、至れり尽くせりのサービスではないけれど、優しい心配りを随所に感じることのできる、とても素敵な宿でした。

Le Grenier a Sel
rue des rondes 01800 Perouges