262 南仏の鷹ノ巣村を廻って

鷹ノ巣村。
それは、鷹が高い木の上や深山の絶壁などに作る巣のように、岩山や絶壁などの上に作られた村のこと。

南仏には100を超える鷹ノ巣村があるそうですが、その中でも有名なのがニース(Nice)近郊にあるエズ(Eze)や、サン ポール ド ヴァンス(Saint Paul de Vence)です。
先日、南仏を旅してエズの村に3泊し、そこを拠点にしてできるだけたくさんの鷹ノ巣村を訪ねてみました。

なお、鷹ノ巣村は岩山や絶壁の上など交通の便の悪いところにあるため、村には古い町並みや昔ながらの雰囲気が残り、素朴でとても静かです。
また、村の頂にはお城やその跡が残っていて、そこからの眺めはとても素晴らしいものでした(絶景!)。

しかし、中にはすっかり観光地化され、お土産屋さんが軒を連ね、大勢の観光客がぞろぞろと歩く村も…。

ところで、もともと鷹ノ巣村は、戦争における砦(【とりで】外敵を防ぐために築造した建造物。要塞)であったところ。
そのため、鷹ノ巣村を観て廻るということは、日本に例えると山城(【やまじろ】山頂や山腹に設け、防御を自然の険しい地形に依存した城)を観て廻るようなもの…。

とある村を訪ねた際に、ご旅行中と思しきフランス人のご家族をお見かけし、そのお父さんが子供達に村の歴史や戦争の様子などを話しているところを伺って、私はハッ!とさせられました。
僕にとっての鷹ノ巣村は素朴で風光明媚な観光地だったのですが、フランス人にとっては戦争の歴史を物語る史跡でもあるのだと…。