198 みんなが遺産相続人?

大寒波に襲われているヨーロッパ。
パリも金曜日に本格的な雪が降り積もりました。
そんな寒い寒いフランスから、心温まるお話を!

先週のフランスのニュースで話題になったのが、フランス最西端、ブルターニュ(Bretagne)地方にあるMael Carhaixという町。
人口15万8千2百人というこの町で幼少時代を過ごしたJean KERFERSさん(享年80歳)の全遺産、140万ユーロ(約1億9千6百万円)が、この町に相続されたというお話です。

このJeanさん、戦後に渡ったオーストラリア、そしてニューカレドレアで、これだけの財を築き上げたとのこと。
生涯独身だったようです。

町長さんとご本人との間では2002年の11月から遺産相続の話が進められてきたそうですが、2005年の12月23日に正式にこの町が受遺者として認められました。

町で暮らすお年寄りや子供達の教育などのために使ってほしいという氏の意思を受け、町では今後3年ほどの時間をかけて、その使い道を決定していくとのこと。
その計画の一部にはJeanさんのモニュメントを作ったり、氏の名前をつけた通りを設けるなどの案が挙がっているそうです。

ちなみに、この町の年間予算が120万ユーロ。
それを上回る額の遺産を受けた町の人々の反応が気になるところですが、どなたもまだ半信半疑といった感じでインタビューに答えていたのが印象的。

あるご婦人が…

「まずは、風除けのついてるバス停が欲しいわ。この寒さに震えてバスを待つ子供達のために、ぜひ作ってもらたいの」

…とおっしゃったのには、とても微笑ましく感じられました。

Jeanさんの真心はこの町の人々だけでなく、フランス人の心にも暖かな灯火を灯してくれたような気がします。