159 南仏をレンタカーで旅して

レンタカーを借りて、南仏プロヴァンス(Provence)を旅しました。
昨年の夏にバスを利用して旅した時も素晴らしかったのですが、今年の夏はバスの通っていない小さな町や村を訪ねてみたいと思ったからです。

私達が旅したのは南仏プロヴァンスの中でも、最も美しいと言われるリュベロン(Luberon)地方。
その西の端にあたるカヴァイヨン(Cavaillon)の町から、東の端とも言えるアプト(Apt)の町までは、直線距離にして約50キロ。
また、北側にあるヴォークリューズ(Vaucluse)山系と、南側にあるリュベロン山系とに挟まれた、南北約30キロの狭い範囲です。

私達の旅のスタイルは、じっくりと時間をかけて町や村を訪ねる楽しみ方。
そのため、1日に廻ることの出来るの町や村の数は、せいぜい2つか3つです。

町や村のはずれにある駐車場に車を停めて、迷路のように伸びる細い路地を歩いて行くと、小さな広場でマルシェ(朝市)が開かれていたり、長い年月を感じさせる教会に行き当たったり、廃墟となって崩れかかったお城があったり、1匹でトコトコと散歩をしている犬と一緒になったり、のんびりと昼寝をしている猫を見かけたり、木陰でペタンク(petanque:南仏発祥の球技)を楽しむお年寄りたちに出会ったり…。
また、村の八百屋さんで完熟トマトを買ってかじったり、マルシェ(朝市)で地物のメロンやぶどうを買って食べたり…。

ただし、レンタカーの旅で残念なのは、お昼ご飯と一緒にお酒を飲むことが出来ないこと…。
そのため、それぞれの町や村で作られたワインとおつまみを買って帰り、夕方、宿に戻ってから楽しみました。

そしてもう1つ、レンタカーの旅の大変さも皆さまにお伝えしなければなりません。
やはり、日本国内をレンタカーで旅するのとは少々様子が異なるからです。

まず、お借りした車はマニュアル車であり(オートマチック車は少ない?)、久しぶりにマニュアル車を運転した僕は何度もエンストをしてしまいました…。

また、運転は左ハンドルの右側通行であるということ。
頭では分かっていても、常に意識して(緊張しながら)運転する必要がありました。

さらに、交差点はロータリー式が多く、信号機のないロータリーへの進入と、進む方向(道路)への退出もなかなか大変なものでした。
その上、運転中に(瞬時に)フランス語で記された行先案内板を読み取ることも大変です。
相方(水野)が助手席で地図を広げて道案内してくれても、何度も行く先を間違えてUターンしました。

そして最後は、狭いスペースへの縦列駐車。
前後の車との間隔が狭いところに、車を出し入れしなければならないということです。
しかも、山の上にある小さな村では急な坂道に縦列駐車をすることも多く、もう~冷や汗のかきっぱなし…。
挙句の果ては、村の散策を終えて駐車場に戻ってくると、前後の車が入れ替わっていて、以前にも増して狭い隙間しか空いていなかったり…。

しかしそんな苦難(?)はありつつも、真夏の日差しの中を気ままに行く旅は、本当に素晴らしく、贅沢なものでした。
そしてまた、南仏の田舎に流れるゆったりとした時間を心行くまで楽しむことが出来ました。