008 印象日の出 受難日誌8/8

Copyright:坂田 正次

1990年12月04日、名画盗難事件は急展開し、フランス領で地中海に浮かぶコルシカ島で「印象日の出」をはじめとする9点が回収された。
犯人グループとみられる7人も逮捕されている。
日本の三菱銀行有楽町支店での3億円強奪事件を起こしたフィリップ ジャマンは潜伏先のメキシコで逮捕された。

名画たちが発見されたのは、パリから遠く離れたコルシカ島南端のポルト ベッキオにあるドナシアン コミチの家であった。
モネの「印象日の出」、「ブリの肖像」、「カミーユ モネとそのいとこの肖像」、「オランダのチューリップ畑」、ルノワールの「ジャン モネの肖像」、「浴女たち」、モリゾーの「扇子を使う女」、ナリューズの「モネの肖像」などが盗難に遭った絵画であったが、中でも「印象日の出」は値段の付けれないほど貴重な存在であるのだった。

【解決の糸口 】

1990年12月09日、読売新聞のインタビューに答えるミレーユ バレストラッジ警視正のコメント。

「日本との捜査協力が解決の糸口になった。その協力が我々の目をコルシカ島に向けさせた」

この短いコメントがマルモッタン美術館から盗み出された絵画の全作品が戻ったことを示すものとなったのである。

【マルモッタン美術館長のコメント】

1987年11月02日の朝日新聞のインタビューの答えは、次のように続いている。

「私は自分の絵画の展覧会を日本で開いたこともある。日本は大好きだ。しかもモネは日本の画家の影響を受けている。だが、もう日本には何も絵は貸したくない。1日も早く印象日の出やほかの絵が戻ってほしい」

館長たちの心の痛手は想像しがたいものがあったようだが、2004年01月から03月にかけてパリ マルモッタン美術館展が東京都美術館で開催された。
2004年現在、マルモッタン美術館はようやく落ち着きを取り戻したようである。
(完)