004 モネ18歳の風景画

Copyright:坂田 正次

モネは1840年にパリに生まれていますが、モネの父が営んでいた食料雑貨店の経営が行き詰まり、5歳になる年の1845年にセーヌ河口の港町ル アーブルに移り住んでいます。

そこで出会ったのがウジェーヌ ブーダンです。
モネは少年のときから画才の頭角をあらわしていて、16歳の頃には、町の有力な人物の風刺画を描いていました。
その作品はル アーブルの額縁屋のショーウィンドウに並べられて1枚20フランで売られ、モネの小遣い稼ぎになっていました。
その横に並べられていたのがウジェーヌ ブーダンの風景画です。

1858年の夏、ブーダンとモネは、ル アーブル近郊のモンティヴィリエ(Montivilliers)に近いルエル村(Rouelles)を一緒に訪れ、モネは初めての油彩の風景画を描きました。
その作品が「ルエルの眺め」です。
モネはこの作品を、8月から9月にかけて開かれたル アーブル市の美術展に出品しています。
「ルエルの眺め」は、現在確認されているモネの最初の油彩作品と言われています。

空と緑を映す小川の向こうに描かれたポプラ並木の構図は、後にもよく出てくるモネのテーマです。
新緑の田園風景を心地よく包む明るい空からの柔らかな日差し、これがモネの画壇へのデビュー作と考えられている「ルエルの眺め」です。

ルエルの眺め モネ
ルエルの眺め モネ