021 パリに留学2/2

前回は、あやこさんが留学した学校の様子を中心にお話を伺いましたが、今回は、スタージュ(研修)について伺います。
皆さまも、料理人の経歴に「パリの○○で修行…」と書かれているのを目にしたことがあると思いますが、どこで修行をしたのかということも重要なようです。

●質問1
あやこさんは、パリの有名ホテルでスタージュされたそうですね。

○返答1
学校の先生の紹介で、ホテル リッツ(Hotel Ritz)のレストラン「レスパドン(L'Espadon)」のデザート部門で、合計4か月間の研修をさせていただきました。
リッツにはお料理学校もあるので、そこからの研修生も多くいました。
私は主に、アフタヌーン ティを担当しました。
レストランだけでなく、ホテル内のプールやバーなどに置く焼き菓子なども用意します。
研修生の中には研修期間が2週間程度と短い人も多く、その場合には果物の皮むきや生クリームの泡立てといった、ごく一部分の作業しか担当させてもらえません。
しかし私の場合には比較的研修期間が長かったので、一通りの作業を経験することができ、大変だった分、とても良い経験になりました。

●質問2
研修中の勤務時間、お仕事の内容、お給料について教えてください。

○返答2
勤務時間:
1日8時間以内と決められていて、朝7時半には厨房に入り、夕方には帰ってもよいことになっていました。
ただし、私はできる限りのことを見たり学んだりしたりしたかったので、許される範囲でそれ以降も自主的に残って手伝わせてもらっていました。

仕事の内容:
技術的には高度なことは要求されませんが、体力的、時間的(忙しいという意味)にとても厳しかったです。
製菓店のように作り置きするお菓子と、レストランのように注文が入ってから用意するお菓子(デザート)では作業の流れも異なりますが、ホテル内の厨房ということでその両方を体験することができました。
具体的には、朝は前日にホテル内の数箇所に散らばってしまったお皿を集めることから始まります。
その後は、スコーンやマドレーヌなど何種類もの焼菓子を焼いたり、ケーキのデコレーション用のパーツを作ったり、アイスクリームを作ったり…。
それ1つでも日が暮れそうなほどの作業を、次から次へとこなさなければならず、常に時間との戦いでした。
そしてその日のレストランの予約の数、宿泊客の数、お誕生日のお客様の数などに応じて、何時までに何のお菓子を何個用意するかが変わります。
また、ルームサービスの注文が入るとそれらの作業を中断してでも優先して用意しなければなりませんでした。
もう、常に走り回っていたような気がします…。

お給料:
研修中は、ほとんどお給料がないのが基本ですが、交通費だけ支給されたり、お給料の何割かが支給されたりと、お店によってさまざまです。
私の場合はホテルというしっかりした組織の中での研修だったので、全額ではありませんが多少のお給料をいただくことができました。

●質問3
職場の雰囲気、人間関係はいかがでしたか。

○返答3
私は他の職場での研修をあまり経験してはいないので比較することはできませんが、他の有名店でも研修をしたことのある同僚の話では、「リッツはとても厳しく、真面目な雰囲気」とのことでした。
特にシェフ(デザート部門のトップ)は厳しい方だったので、シェフが現れると、ピンと張り詰めた空気になりました。
研修生の入れ替わりは速く、また、仕事中はあまりおしゃべりができる状況でもなかったので、深い交流ができなかったことは少し残念でしたが、人間関係については何も問題はありませんでした。

●質問4
アヤコさんの今後のご予定や夢を教えてください。

○返答4
私の作ったものを食べてくださる方が、美味しいと喜んでくださること、美味しく食べてくださる様子を見ることができることが、私の1番の幸せです。
場所はパリでも、日本でも、どこでも構わないので、いつかは小さくてもお客様の顔が見える形でお料理することができたらいいなぁと思います。
なお現在は、パリ9区のレストランでデザート部門を担当していますが、2008年秋からは、新規オープンのレストランで働くことになっているので、生活ががらりと変わることになると思います!

●備考
3回にわたってお届けしたあやこさんのワーキング ホリデー&留学生活のお話はいかがでしたでしょうか。
フランスにワーキング ホリデーで行ってみたい、フランスに留学してみたいとお考えの方に、少しでもお役に立てば幸いです。